「イエスアルバム」
1,Your Is No Disgrace
2,The Clap
3,Starship Trooper
4,I`ve Seen All Good People
5,A Venture
6,Parpetual Cange
このアルバムはなんつたって、スティーヴハウが初参加したということで、イエスがイエスらしくなったという記念すべきアルバムである。かのクリススクワイアももっとも好きなアルバムとしてこれを挙げているしね。
イエスソングスなどの選曲見ても1〜2曲除いて、ほとんどライヴ演奏されているしさ。ポップで高度なイエスミュージックの源流がここにありますね。
1曲目から新参のハウは全開である。この曲のイントロ部分ハウの三連フレーズはいざ弾いてみると難しいんだ。なんせギターはアコースティックで練習せよとのたまう先生のこと、エレキのみしか弾かない連中にはきついよなあ。指が開かないし、リズムもすでに独特、なめらかに聴かせるのは相当練習が必要だね。俺は昔全部の音が拾えなかったので、手抜きでそれらしく聞こえるように弾いていたが、後年楽譜見て唖然・・・ それと似たような例に「フラクチャー」ってのがあって、これもよく聞こえる音のみ拾って誤魔化すんだよね(笑)
中間部のベース静かなフレーズはいい感じだ。脅迫神経症的に音をつめこまないでも演奏できるのは一種の余裕だね。とかくプログレは音を厚くしたがる傾向があるんで。
そこにかぶさる、三声のコーラスはCSN&Yにも影響受けただけある。このあたりがアマチュアにおいそれとコピーさせない最大の要因。
イエスのコピーバンドが少ないのは、例外なくこのコーラスのせいだ。俺のバンドでは歌すらなく、ひたすらインストでやっていたのよ、あ〜情けないなあ。
さて2曲目は「クラップ」
あまたあるイエスの曲ではこれ一番聴いたな。理由は言うまでもなくコピーするためなんよ。当時高校生の俺にはどうやって弾いてるのか想像もできなかった。
アンダーソンがギター弾けるというのは知っていたから、そうかあ二人でやってるのだろうななどと呑気なことまで考えて現実逃避していたのね(笑)
「ムードフォアデイ」は耳でコピーできたから、調子にのって取り組もうとしたんだけどあっという間に挫折しました。リッチーやジミーぺイジなどとはまったく違ったイディオムのギター奏法。いやあ勉強になりました。ピック持ったままのスリーフィンガーは大変だったよお。
コード奏法の間に頻繁に入る単音のフレーズ、その切り替えも高度だし、そのコードだってあのぐらいスピードでコードチェンジするのは、時間かかったねえ。
でもさ、人前でサラっと弾いてみたらさぞかしカッコいいだろうなという邪な考えで楽譜探して幾星霜・・・・、ついに出たあ!!!94年の正月のギターマガジンだったけかな、やっと楽譜が手に入り、それからは日々練習でございました。でもねいまだに弾けないよ、そりゃあそうだ「クラップ」だもんねえ。そうそう容易くはないさ。
このようなギターソロの曲を新参者のくせに平気でアルバムに入れてしまえる度胸があってこそこれ以降のハウ&アンダーソン黄金時代があると思うね。
次のスターシップトゥルーパーはこれも定番の曲ね。
途中のハウのカントリーチックなギターはイエスを凡百のプログレバンドと区別する要素であります。 泣きのかったるいメロディーに陥らず、明るく聞きやすいイエスが他のプログレバンドより人気が出るのはしごく当然のこと、なんせイエスには女性のファンまでいるんだぜ(笑)。 というか、あんまりいないよね、フロイドやクリムゾンが一番好きな、女の子って。たいていはELPかイエスでなかったのかな、リアルタイムの人達は。
この曲に代表されるような空間的な広がり、清涼感は他のバンドではなかなか体現できない部分なのだな。やはりここはアンダーソンの声質のなせる技と言い切ってしまいましょう。
4曲目はライヴ映像の「イエスソングス」のOPだったので、かなりおなじみです。
ここでも音像としてはやはりギターメインなんだね。結論じみるけどこのアルバムはギターアルバムなんだ。ピーターバンクスではなしえなかったことがいかに多いかわかるよね。
次の「こわれもの」でウェイクマンが入るまで、リード楽器のメインはギターにせざるを得なかったんだろう。トニーケイはプレイヤーとしてはやはり評価の対象外だ。
この曲でも十分わかるけど、耳に残るメロディーを高度な曲構成の中に組み込めてしまう力量はやはりたいしたものである。彼らは当時20代前半だったんだよなあ。
でね、皆さん、イエスファン自認してても、この5曲目の曲名がすぐ言える人ってどのくらいいます?俺もよく忘れるんだ。なんせこれってあきらかに穴埋めの曲だからさ。
いまだかつてライヴでやったことあるのかなあ。ブートに詳しくないからよくわからないけど、まあどっちでもいいね。「南の空」あたりはどうやらリハーサル程度にやったのが確認されているけどきっとメンバーがやりたくなかったんだろう。
最後はパペチュアルチェンジ、これとて「イエスソングス」にブラフォードのテイクで収められてなければ忘れられてしまったかもね。リフはとっても印象的、でも曲としてはいささか凡庸。
このアルバムはどう聴いたって、A面にあたる3曲の出来が出色。といいますかイエスファンなら耳にタコな曲のオンパレード。
でもさ、結晶とかキーズトゥアセンションのスタジオ曲なんてひとつも覚えてないことから考えるとこのアルバム以降の曲の膾炙のしかたはすばらしい。まあ、全盛期のなせる技と言ってしまえばそれまでだけどね。
てなわけで、いよいよ黄金期の「こわれもの」に続くのよ。
(はかせ)